債務整理手続のうち、特に任意整理及び過払い金返還訴訟(引き直し計算の方法等)について利用される重要判例を紹介するページです。
立替払契約は、単なる金銭を目的とする消費貸借とは認められず、利息制限法は適用されない。
利息制限法の制限利率を超える利息を支払ったことを理由とする過払い金の不当利得返還請求は、その構造上、貸付及びこれに対する利息制限法の制限利率を超える利息の支払いを請求原因として、主張することになり、同一当事者間で、貸付、返済が繰り返されている場合においては、原告においては、過払いとなっているとする期間の取引経過を主張すれば足りる。
債務者が利息制限法所定の制限を超える金銭消費貸借上の利息・損害金を任意に支払ったときは、制限を超える部分は、残存元本に充当されるものとする。
※利息制限法が強行法規であることを、強調した現在の過払い請求の基本判例
利息制限法所定の制限を超える金銭消費貸借上の利息・損害金を任意に支払った債務者は、利息超過部分の充当により計算上元本が完済となったときは、その後に債務の存在しないことを知らないで支払った金額の返還を請求できる。
※現在の過払い金充当(当然充当)問題の基本となる判例
同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において,借主が一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払い,この制限超過部分を元本に充当してもなお過払金が存する場合,この過払金は,当事者間に充当に関する特約が存在するなど特段の事情のない限り,民法489条及び491条の規定に従って,弁済当時存在する他の借入金債務に充当され,当該他の借入金債務の利率が利息制限法所定の制限を超える場合には,貸主は充当されるべき元本に対する約定の期限までの利息を取得することができない。
第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行われた期間の長さや此れに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間、第1の基本契約についての契約書の返還の有無、借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無、第1基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるに至る経緯、第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等の事情を考慮して、第1の基本契約に基づく債務が完済されても此れが終了せず、第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合には、第1取引で生じた過払い金を第2取引の貸付金に充当する旨の合意が存在するものと解するのが相当である。
継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合には,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情がない限り,上記取引が終了した時から進行する
貸金業規正法第43条1項の規定の要件いついては、これを厳格に解釈すべきである。確定的な記載が不可能な事項があったとしても、貸金業者は。その事項の記載義務を免れるものではなく、その場合には、当該事項に準じた事項を記載すべき義務がある。
債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利率の支払を遅滞したときには、当然に期限の利益を喪失する旨の特約の下では、制限超過部分を自己の自由な意思によって支払ったものとは言えない。
貸金業者において貸金業規制法43条1項の適用が認められないときは、当該貸金業者は、同項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有することに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情がある場合でない限り、「悪意の受益者」であることが推定される。
利息制限法の制限超過利息を受領した貸金業者が判例の正しい理解に反して貸金業法18条1項に規定する書面の交付がなくても同法43条1項の適用があるとの認識を有していたとしても,民法704条の「悪意の受益者」の推定を覆す特段の事情があるとはいえない。