ここでは、債務整理手続4種(任意整理・特定調停・個人民事再生・自己破産)のうち、どの手続きを選択するのがベターであるかを簡単な事例を挙げて解説します。
このページで、各種債務整理手続の効果の概要がお分かりいただけると思いますので、ご参照ください。
では、どのような債務整理手続があるのでしょうか。
ここでは、概要を解説するにとどめ、詳細は各手続ページに譲ります。
任意整理引直金額(法律上の負債金額)の分割返済で債権者と和解する裁判外の手続(返済型・裁判外手続) |
||
個人民事再生引直金額からさらに法的な減額を受ける裁判上の手続きです。引直金額により、減額幅は異なりますが、最高で8割〜9割のカットが期待できます。 但し、引直金額の合計が100万円未満の場合は、それ以上の減額の効果はありません。(返済型・裁判手続) |
||
自己破産上記2つの手続きでは、解決できない(支払いを継続することができない)特段の事情がある場合に、裁判所に免責許可をもらい、以後の支払義務をなくしてもらう手続きです。(清算型・裁判手続) |
||
過払い金返還請求引き直し計算をすると、既に完済しているどころか、むしろ「マイナス」になっている状態の際に、←・→の部分(マイナスの部分)を返還してもらうための手続です。 |
取引期間が長ければ、当然今までの返済金額も高額になります。
つまり、利息の払いすぎていた分も多いということになり、法律上の負債金額と債権者の請求する金額との差は大きくなります。
改めて申しますが、債務整理を行ううえで、一番重要なことは、「法律上負っている債務」の調査・確定です。ほとんどの方が、本来支払う必要のない利息を支払っている為、債務調査をし、債務調査結果をみると、消費者金融等から請求されている金額と大きな差が生まれます。
債権者名 | 負債金額 | 約定利率 | 取引期間 | 備 考 |
---|---|---|---|---|
アイフジ | 150万円 | 26% | 約10年 | |
プロム | 150万円 | 25% | 約10年 | |
ディッキ | 60万円 | 25% | 約3年 | |
潟Zボン | 40万円 | 20% | 約2年 | うち、10万円ショッピング |
債権者 4社 | 400万円 |
取引履歴の開示請求を行い、債権者から開示されたデータを基に、引直計算を行った結果が以下のとおりとなりました。
債権者名 | 引直金額 |
---|---|
アイフジ | 過払60万円 |
プロム | 過払40万円 |
ディッキ | 35万円 |
潟Zボン | 35万円 |
※上記でわかるように、長期取引の場合、債権者の主張する金額と法律上支払わなければならない金額は大きく異なります。(債務調査がいかに重要であるかお分かりいただけたのではないでしょうか?)
Aさんのケースで各手続きを行うとどうなるのかシュミレーションします。
過払い金返還請求 |
アイフジ梶Eプロム鰍サれぞれに対して、任意に過払い金の返却を求め、上記2社がこれに応じ、上記金額を取り戻したとします。取戻金額合計100万円 |
任意整理 |
引直計算後も残が残るディッキ鰍ニ潟Zボンに対し、それぞれ、35万円ずつを一括で返済することで、契約を終了してもらえるよう交渉します。その結果、相手方がこれに応じれば、上記過払い金から返済を行い、手続終了となります。、 |
民事再生 |
引直金額が100万円未満ですので、この手続きをとっても、更なる減額は期待できません。逆に、申立費用等の実費の発生により、かえって負担が重くなってしまいます。 |
自己破産 |
法律上の負債総額は、0円ですので、自己破産を取ることはできません。 |
Aさんのケースでは、任意整理・過払い金返還請求手続により、自己破産手続を行った場合と同様、以後の返済はなくなります。
長期取引が多い場合は、法律上の負債金額を支払う(或いは過払い返還請求により過払い分を取り戻す)ことで、多重債務状態を解消することができます。
しかし、短期の取引が多い場合は、払いすぎ分が少ない結果、引直金額(法律上の負債金額)と債権者の請求金額とは、それほど異なりません。
この場合は、法律上の手続で借金の全部或いは一部を免除してもらうことも考える余地があります。
債権者名 | 負債金額 | 約定利率 | 取引期間 | 備 考 |
---|---|---|---|---|
アイフジ | 150万円 | 26% | 約2年 | |
プロム | 150万円 | 25% | 約2年 | |
ディッキ | 60万円 | 25% | 約3年 | |
潟Zボン | 40万円 | 20% | 約2年 | うち、10万円ショッピング |
債権者 4社 | 400万円 |
債権者名 | 引直金額 |
---|---|
アイフジ | 120万円 |
プロム | 125万円 |
ディッキ | 35万円 |
潟Zボン | 35万円 |
合 計 | 315万円 |
※やはり、短期取引の場合、債権者の主張する金額と法律上支払わなければならない金額はそれほど変わりません。
任意整理 |
仮に、債権者全員が、 @引直金額の分割払い(36回)で応じてくれたとすると、 315万円÷36回=毎月の返済約8万8,000円 A引直金額の分割払い(60回)で応じてくれたとすると、 315万円÷60回=毎月の返済約5万3,000円 となります。 |
民事再生 |
引直金額が100万円超ですが、最低100万円は返済しなければなりませんので、この手続を採れば、引直金額よりさらに、100万円まで減額される可能性があります。 民事再生手続きでも、原則として36回の分割払いが基本ですので、 100万÷36回=毎月の返済額約2万8,000円 となります。 |
自己破産 |
毎月3万円でも支払いが困難な事情がある場合には、破産・免責手続(自己破産手続)もやむを得ない場合があります。 この場合、無事免責許可が確定すれば、以後の支払いは一切なくなります。 |