われわれ専門家の間で、サラ金3法と呼ばれる法律があります。この3法が、いわゆるグレーゾーン金利問題を引き起こしている原因であると同時に。全債務整理の出発地点となります。
「グレーゾーン金利」とは、利息制限法所定の制限利率と出資法の上限利率の「間」をさし、大手消費者金融をはじめ信販会社でも、この「間」の利率で貸付を行っているのが現状です。
サラ金3法とは、
のことを指します。以下、この3法についてみていくことにします。。
まず、「利息の母」である利息制限法につき、説明いたします。
●「利息制限法は、強行法規です。」(平成39年11月18日 大法廷判決)
この意味を如何に理解するかが他の2つの法律を理解するうえで重要です。
「強行法規」とは、特別な定め(法律)がない限り、当事者間でこれと異なる定めをすることができないという意味です。従い、特別な法律がない限り、「私」が「あなた」と年30%の利率で貸付を行う約束をしても、利息制限法を超える部分に関しては、その約束は法的保護に値せず、無効になります。
元本金額が
10万円未満 |
20% |
|
10万円以上100万円未満 |
18% |
|
100万円以上 |
15% |
利息制限法が適用対象は、金銭消費貸借取引(キャッシング)だけであり、いわゆるショッピングには適用がないということに注意してください。
(参考判例 東京地裁判平成4.4.9金融法務事情1351号37頁)
次に、「利息の番人」である出資法につき、説明いたします。
出資法第5条第2項によると、「金銭の貸付を業として行う者が、29.2%を超える利息の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは1千万円以下の罰金、またはこれを併科する。」としています。
つまりこの法律は、「金利が著しく高い場合には、処罰しますよ。」という法律です。
この法律に真っ向から抵触するのは、ヤミ金融が代表的です。逆に言えば、大手消費者金融は、出資法の金利制限は守っているので、これを理由に処罰されることはないのです。(これが、グレーゾーン金利問題)
ここで、利息制限法・出資法についておさらいです。
●利息制限法は強行法規であり、この制限を超える部分に関しては、民事上無効
●29.2%を超える場合には、処罰の対象
では、「消費者金融や信販会社の金利は、利息制限法を超えるから無効なのか?」というと、必ずしもそう言い切れません。
なぜ、消費者金融が、25%や出資法ぎりぎりの29.2%で貸付を行えるのかが、この貸金業規制法に謳われているのです。
「貸金業者が、業として行う金銭消費貸借上の利息契約に基づき、債務者が利息として任意に支払った金銭の額が、利息制限法所定の制限を超える場合において、その支払が、以下の要件(みなし弁済要件)を満たす場合には、有効な利息の債務の弁済とみなす。」という規定があります。
要件を簡単にまとめると
【1】 債権者が貸金業登録業者であること
【2】 契約の際、貸金業規正法第17条の要件を満たす書面を交付していること
【3】 弁済の際、貸金業規正法第18条の要件を満たす受取証書を直ちに交付していること
【4】 債務者が約定金利による利息を利息としての認識で支払ったこと
【5】 債務者が約定金利による利息を自らの意思で任意に履行したこと
上記5つの要件を全て満たした場合には、29.2%以下の利率であれば、利息として有効に受領できます。但し、実際にこの要件を全て満たすことは困難であり、ほとんどの業者が主張はするものの、立証できないのが現状です。(ここが、債務整理のポイントです。)
利息制限法所定の利率を超える利息を正当に受領するには、みなし弁済要件をすべて満たさなければならないが、ほとんどの業者がこの要件を満たしていないのが現状である。