利息については、これで最後のページになります。
前項までに、超過利息の実態、そして超過利息の充当方法と述べてきました。そうすると、どのくらい超過利息があるのか(=法律上の負債金額)調べたくなるのではないでしょうか。(このことを引き直し計算と呼びます。)
そこで、最後に超過利息分の調べる方法について解説していきます。
なお、認定司法書士若しくは弁護士に債務整理を依頼した場合には、通常、以下に記載する手続等は専門家の職権で行います。
さて、これまで解説してきたとおり、現在消費者金融等から請求されている借金金額は、法律上支払わなければならない金額ではない可能性が高いわけです。
すると、法律上支払わなければならない金額を確定しなければ、どの債務整理が適切なのか判断できないはずです。
当職のように、債務整理を中心的業務として行っている専門家若しくは消費者金融等の専門部署の担当者であれば、請求金額と取引期間から大まかなところは予想できますが、そのような経験がない方では想像もつかないことでしょう。
債務整理といっても数種の手続があるため、正確な債務調査を行わないと、債務整理手続の選択を誤ることになりかねません。例えば、私が相談を受けたケースでは、5社中3社に対する債務は既に過払いが発生しているにもかかわらず、手続選択を誤り、自己破産手続きを進めてしまっている等(最近では、自己破産手続でも、引直計算書の提出が求められるため、このようなことはあまりないと思いますが・・・以前は結構ありました。)、このように、どの債務整理を選択するかは、非常に重要になります。
引直計算を正確に行うには、借入・返済の金額・日付を全て把握していなければならないことになります。振込伝票・領収書等の取引内容がわかるものを全て保管している方であれば格別、大抵の方は、2年前のことすら記憶があいまいではないでしょうか?
そのような場合には、記録を保管すべき立場にある各債権者に取引履歴(データ)を開示してもらう必要があります。昔は、この取引履歴の開示になかなか応じない業者もおり、労をねぎらうこともありましたが、最高裁の判例(平成17年7月19日 第3小法廷判決)が出てからは、取引履歴の開示に応じない業者はほとんどいません。
しかし、現在でも、特に信販系の会社では、取引履歴の開示に相当な日数を要するところもあります。
一般の方が請求する場合には、債権者によって、専用の申込用紙などが用意されているところもあるようですので、それを利用することになるかと思います。
各債権者から、取引履歴が送られてきたら、各取引ごとに再計算を行います。
これが債務調査の主な内容になります。
利息の計算方法は、(原則) 残金×適正利率×日数/365
で求められますが、取引は1度や2度では無く、全てを計算するのは至難の業です。
そこで、エクセルなどを用いて計算していきます。利息計算ソフト(エクセル)を利用すれば、短時間で再計算できます。私も利息計算ソフトを使用しておりますが、当該ソフトは私が作成したものではないため、ご紹介することはできませんが、インターネット等から探してみては如何でしょうか。
最後に、引き直し計算というのは、簡単そうに見えますが、いろいろな問題を含んでいます。(途中完済があった場合や取引期間中に遅滞等があった場合など、どれも債務整理の中心的論点です)このあたりは、非常に専門的知識を要しますので、ご自身で債務整理に関する判例等にあたってみるのか若しくは専門家に依頼するのか、慎重な判断が求められるでしょう。